や す ら ぎ の 富 士
訪れる人にやすらぎを
去りゆく人に幸せを
ドイツ シュピタール門碑文より

富士山を見ると、日本人なら誰でもホッとして気持ちがやすらぎます。だからといっていつでも本物の富士山を見ることはできません。そんな時、富士山の写真を見て、ほんのわずかでもやすらぎの気持ちを持って頂けると嬉しいです。どうぞごゆっくり写真をご覧下さい。
記憶の中の絶景
1990年~2005年ごろの写真で、今はもう見ることができない絶景を集めました。もちろんフィルムでの撮影です。
乙女高原岩場 10月

明日朝の晴れを期待して、前日夜乙女高原にある岩場に紅葉を撮りに行くと、朝まで雨模様。あきらめて車の中に居ると、急に明るくなり朝焼けが始まりました。慌てて岩をよじ登ると、紅葉の谷へ押し寄せる雲海、赤く焼けた雲、くっきり見える富士山、こんな劇的な朝を迎えることはもう二度とないでしょう。
猪之頭林道 9月
台風一過の朝焼けを狙って猪之頭に来ると、林道は崖崩れで閉鎖。遠回りして反対の下部から上り、崩れた土砂を乗り越えてたどり着いた山頂、やっと撮れた劇的な朝焼けでした。
長尾峠深沢 7月
この場所がダイヤになる6月下旬は、いつも10人以上のカメラマンでにぎわって居たものですが、木が伸び、御殿場の街が見えなくなった今は、誰も訪れなくなりました。誰も来なくなってからも、ポイントのはずれからライトアップされた仏舎利を見ることができます。脚立に乗り何とか枝を避けてようやく仏舎利が見える夕焼けの街を撮れましたが、今はここも撮るのが難しいです。
忍野村 7月
お米が生産過剰になり、稲作が強制的に休耕させられました。そこで、空いている田に写真のルピナスや、ヒマワリ、コスモス、ハナショウブなどを育てていました。
花の都 6月
花の都が今のように整備される前、春はポピー、そのあと写真のフランスギク、夏はヒマワリ、秋はコスモスと、一面に咲き誇りました。
忍野村 7月
忍野中学校の横は湿地帯で、そこにハナショウブが植えられていました。花時が梅雨と重なるので、なかなか富士と絡めて撮ることはできませんでした。そこは今、トンネルから出た土で埋め立てられ、ブルーベリー畑になっています。
梨ケ原 8月
梨ケ原の真ん中あたりに湿地があり、そこにヤナギランが群生していました。今は鹿の食害でなくなってしまったそうです。別の場所にあると聞きます。
平林 柿 11月
平林の集落を抜けて櫛形山林道へ入る手前にあった柿の木。舗装道路が延長され、切られてしまいました。しかしその道路も舗装は止まったままで、どこへ通じるのだろう。
農大牧場 9月
今、ふもとっ原というキャンプ場になっていますが、以前は農大の牧場として、独特の景観を有していました。夜露に濡れたジシバリは、やがて刈り取られて牛のえさになります。
篠窪菜の花畑 4月
フォトコンテストに入賞したりして、この景色がすっかり有名になり、訪れる人が多くなりました。それに反比例して、最近花が少なくなって見る影もありません。今皆さんは下の道路から撮っていますが、このころは誰もいないので、上からはるかに広く花畑が広がっている景色が撮れました。
イタヤカエデの大木 11月
雁が腹摺山登山口の大峠へ行く途中にあるこの樹は今も健在ですが、樹勢が衰えたり、周りの木が伸びたりして、きれいに撮れなくなってしまいました。
姥子山 11月
奈良子林道が閉鎖されたため、ここへ行くのは雁ケ腹摺山を超えて行かなければならないので、行きにくくなってしまいました。降雪の翌日のため、山頂部がすっきり白くなっています。それはまるでアメリカの国鳥の白頭鷲のように。
梨ケ原野焼き 4月
忍野村の入会地である梨ケ原は、春になると野焼きをします。しかし、事故があったりして、今は入って撮ることはできないようです。
山中湖 1月

全面氷結した湖面に穴を開けて、ワカサギ釣りをしています。 以前はこんなこともできたのです。 今は氷がはることが珍しいくらいです。
積雪の山伏 4月
8月31日に山伏はダイヤになるのでカメラマンでにぎわいます。もう一度は4月14日で、おそらくカメラマンは誰も登っていないと思います。これは4月16日。雨上がりの深夜登ると、山頂は腰までの大雪で、日の出前には間に合いませんでした。雲海の先に富士山が見えています。フィルムで40枚も撮りましたが、この一枚だけが何とか見ることができました。
西浦湾 1月
発端丈の隣の西浦に、スカンジナビア号が係留されていました。レストランとして使われていましたが、香港に売られてえい航される途中で沈んでしまいました。
都夫良野 3月

光跡を右から、都夫良野トンネルから出た東名高速道路、その下を通るのが246号、その左の細い光跡が御殿場線。夕方、電車がが来ると迎えの車が谷我駅に来ます。それが左の光跡で、ホームの灯が見えます。山の上の茶畑から見えた景色ですが、今は木が伸びて見ることができません。
ベイブリッジ 3月
何年間か横浜を通って通勤していました。普段は電車ですが、見えそうな日は車で行き、早退して大黒ふ頭へ行きました。それでも山頂に沈むダイヤは撮れませんでした。当時,埠頭は使われておらず、自由に入れましたが、今は警備が厳重で入れません。
高座山 8月
2年生の国語の教科書に『くじらぐも』という童話があります。子供たちがクジラの形をした雲に乗り、空の散歩をする話です。赤富士を撮り終えた後、浮かんでいた雲が、クジラそっくりな雲になり、後日、この写真を大きくプリントして、教材として使いました。この後、いろいろな形になり、夕方まで楽しみました。もしかしたら、また会えるかもしれません。
聖路加病院展望室 2月
左の橋は勝鬨橋、その右が築地市場、東京タワーの後ろに小さく富士山が見えます。ここからのダイヤを狙って通いましたが、撮れる前に入れなくなりました。
一度は見てほしい絶景
我が家から30分の撮影地。立っていられない強風の中で、打ち寄せる波が雲海のように白く泡立っていました。満月の月照で撮りました。これは30年ほど前の写真ですが、新聞社の公募展で賞をもらいました。その頃はほとんど知られていない撮影地でしたが、今は何事もない日でもカメラマンが居るのに驚きます。